平沢ASからゴールまで

そうそう、実はここまで信号がなかったのだよ(ええと、後でコース図を見返すと信号はそれまでもあったらしいが、少なくとも赤信号で止まったりはしなかった。要所でスタッフが手旗で誘導してくれていたので、信号に気づかなかった可能性アリ)。100kmも信号を意識せずに走れるコースなんて、確かに他にないだろう。平沢ASを出て両津市街に入ってからいくつか信号で止まることになって、おー、そういえばいままで信号なかったなぁ、と驚いた。

市街を抜けて、Aコースと分岐。さてここからがBコースの新設コース。去年と今年の参加者の合計3,000人超の内、まだ誰も走っていないルートを僕ら600人弱が走るのだ。

実は、前日トキ野生復帰ステーションに向かう途中に、僕は一部このコースを走っている(110km付近)。そんなわけで、そこそこのアップダウンがあるルートなのは知っていたし、スタート前にもMCが「Bコースの島を横断する新しいルートは、アップダウンが激しいので、好きな人には楽しめるはずです」と叫んでいたから、ある程度は覚悟していたのだけれど…。

110km付近までは、まだよかった。両津市街を抜けてAコースとの分岐を過ぎてから、50代くらいの男性と併走しながら、「彼ら(Aコース参加者)は更にこれから100kmでしょ?信じられないよね?」なんて話していたのだが、Bコースの110kmを過ぎてからの残りの20kmもまさに「信じられない」アップダウンの連続だった。

このあたりではもう完全にひとり旅。単独走。前にも後ろにも自転車乗りはいない。それどころか、周囲360度見渡して、人間がひとりもいない。左手側は小佐渡の山々、右手は田圃。山と里の間を縫うように走る道。疲れているせいもあって、上りの高度が下りで開放されていない、つまり「なんだか上りばっかり…」な気がする。たまに遭遇する自転車集団も、降りて自転車を押す人が何人もいた。ここは本当にしんどかった。

サイコンのメータはどんどん進んで、もうあとゴールまで10kmというところでもまだアップダウンの連続。アップダウンというよりも、アップアップダウンくらいのイメージ。あんな海沿いの平坦なスタート地点(つまりゴール地点)に向かって、あと10kmもないはずなのに何故こんな山間を走っているんだろう?と、疑心暗鬼。

ようやく里に下りた。それでもまだ5kmほどある、らしい。尻痛が酷い。脚も売り切れに近い。もうフロント・アウタでは回せず、平地もセンタで走る。風は、もちろん向かい風(笑)。幸いなことにそれでも取り敢えず脚だけは回っている。でもなんでこんなに尻が痛いのだろう?ひさしぶりだな、こんなに痛いの。荷物預けずにリュック背負ったまま走ったからかな。嗚呼、そういえば、着替えの他に昨日の受付で貰った参加景品の佐渡コシヒカリも入ってるのか。米背負って走ってたんだなぁ(笑)…ゴールしてから渡してくれればいいのになぁ…なんて思いがゆっくりスライドショウのように頭を巡るが、脚はそんな意識とは切り離されてかろうじて回っている。

ついに。ようやく。うおーっ、ゴールだ。MCがゼッケン番号と照らし合わせて僕の名を叫んでいる。おめでとう、お帰りなさい、と。
ゴール!
左のゴール瞬間の写真は、地元の写真屋が撮影してくれたもの。Sampleの文字が入っていない紙焼きと画像データは有料で譲ってくれるらしい。どうしよう?買おうかなぁ…。